殺処分ゼロではなく、放棄ゼロを目指して。
活動当初は、殺処分ゼロ!1頭でも多くレスキューして譲渡する事に必死でした。
当時住んでいた県は「殺処分ゼロ」を達成していたので、他県の収容犬に目を向けていましたが、
ある日、殺処分ゼロのセンターには譲渡不可とされた犬たちがいることを知り見学へ行きました。
最新のセンターは冷暖房完備で清潔な個室でしたが、収容犬たちの1日のお散歩時間はたった15分。土日祝日は給餌・給水のみ。
譲渡不可とされた犬たちは、満足のいくお散歩もなく、到底犬らしいとはいえない生活を一生送らなければならない現実に衝撃を受けました。
人間達のエゴにより生き地獄を味わう罪のない犬たちの存在を知った時、「殺処分ゼロ」でなはく「大切な命を放棄しない社会」を目標にしなくてはならないと強く感じました。
まずは人間がしっかり犬に関する知識を学ぶこと。
犬にも人間と同じように命があり心があります。
目的が排泄になっていませんか?
しつけやトレーニングという名目で痛みや恐怖を与えていませんか?
犬が人社会で安全で安心して暮らすために必要なしつけやトレーニングには色々な考えや方法がありますが、まずは犬としてのニーズを満たし、それぞれのペースで出来る事や自信を増やしていくと、お互いが尊重しあえる関係を築き、より豊かで楽しい暮らしとなります。
健康で幸福な生活を提供することが大切だということがわかると思います。
専門家を交えて気軽に学べる場を作るのも目指す社会に必要な活動だと考えています。
一筋縄ではいかないケースがあるということ、
そんな大切なことを全く考慮していない悪質な事業者が存在するという事も知っておかなければなりません。
保護・譲渡活動だけでなく並行して犬に関する様々な啓発活動を積極的に行い、理解と共感を拡げていく。
これは単に犬や猫の問題ではなく、私たち人間と同じ大切な命の問題であること。
それぞれの立場で大切な命と真剣に考え向き合うことこそが、様々な問題を解決するための唯一の方法だと考えています。
周りに住居がなく、猟犬種や牧羊犬種も十分に運動できる広さがあり、夏の涼しさ、晴天率の高さ、積雪量の少なさ、交通の便の良さも揃っていた長野県小県郡長和町に決めました。
現在起きている犬に関する様々な問題が社会全体の問題として広まり、人々の意識が変化する。
消費者の目が厳しくなれば悪質な事業者は減り、
人間のモラルが向上すれば犬の逸走や身勝手な放棄が減り
保健所に収容される犬の数が減り、結果的に殺処分を減らすことに繋がると考えています。
動物福祉の「5つの自由」のこと
出典:環境省「動物がいきいきと生活するために」をもとに作成
人間と同じように動物にも命があり、生きていくために必要な要求(基本的なニーズ)があります。
人間に飼われている動物や、人間によって制限された環境にいる動物は、自らの意思で基本的なニーズを満たすことはできません。飼い主には動物のニーズ(生理的ニーズ / 環境的ニーズ / 心理的ニーズ / 社会的ニーズ / 行動的ニーズ)を満たし、動物ができるかぎり快適に生活ができるようにする責務があります。
「5つの自由」と「終生飼養」
5つの自由とは、動物の基本的なニーズが満たされて、動物が心地よく、安心して安全に暮らせているかを確かめるための指標です。動物を飼う時に飼い主は、この5つの自由を与えなければなりません。
そして、動物がその生命を終えるまでに適切に飼養すること(終生飼養)が、飼い主の動物に対する責務です。
01 飢え・乾きからの自由
動物にとって食餌は、とても大切です。動物の種類や年齢や健康状態にあった適切なフードを与えましょう。
水は新鮮なものがいつでも飲めるようにしましょう。
02 痛み・負傷・病気からの自由
ケガや病気の場合には適切な治療を受けさせましょう。日頃から病気の予防を心掛け、健康状態をチェックしましょう。
03 不快からの自由
清潔で安全で快適な飼養場所を用意して、動物が快適に過ごせるようにしましょう。
04 本来の行動がとれる自由
飼い主は、それぞれの動物が本能や習性に合った動物本来の行動がとれるように工夫しましょう。
05 恐怖・抑圧からの自由
飼い主は動物が恐怖や抑圧を受けないように、また、精神的な苦痛や不安の兆候を示さないように、的確な対応をとりましょう。
「5つの自由」は、国際的に認められている動物を適切に扱うための考え方です。
日本でも、「動物の愛護及び管理に関する法律」第2条に定められている人が動物を取り扱う場合の基本的な心構えとして、命ある動物をみだりに殺し、傷つけ、または苦しめることがないようにするだけでなく、動物の習性を考慮して適正に取り扱うこと、適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した使用環境の確保を行うよう求めています。